一行怪談。
- 作者: 吉田悠軌
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/07/11
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
今日読んだ本。
最初に「一行怪談凡例」というのがあって、
- 題名は入らない。
- 文章に句点は一つ。
- 詩ではなく物語である。
- 物語の中でも怪談に近い。
- 以上を踏まえた一続きの文章。
という、ワンセンテンスの怪談集です。
こういうの見たら、自分も作りたくなって来る。ので、作ってみた。
踏切の向こうにいるのが去年死んだ友人だと気づいた瞬間、電車がけたたましく通り過ぎて行った。 #一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月6日
名前を呼ばれて振り返ったら、何匹もの猫が集まってじっとこちらを見ている。#一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月6日
産まれる前に亡くなった父の写真の顔が全てぼやけているので、私は未だに父の顔を知らない。#一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月6日
妻が子供の頃から大事にしているぬいぐるみの中には、誰のものとも知れない永い髪の毛が詰まっていた。#一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月6日
前世で死別して結ばれなかった恋人の墓を暴くと、今世で私が殺した女の遺体が出て来た。#一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月6日
怖くないかな。
8/7追加。
夜な夜な僕に愛を囁く声の主が、遠く離れた山奥に打ち棄てられた頭蓋骨だということを知っている。 #一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月7日
訪問先の小さい女の子が、玄関口の上からぬっと顔を出して、「お母さんはいないよ」と答えた。 #一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月7日
8/8追加。
色とりどりの盆灯籠が立ち並ぶ中、その一角だけが、どの家の墓にも白い盆灯籠のみ何本も立っている。 #一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月8日
多分広島及びその近郊の人しかわからない。
「決して開けてはいけないよ」と言われた小箱をひったくられたその日から、この街でのひったくりの被害はぱたりと途絶えた。 #一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月8日
8/9追加。
一人で残業している深夜のオフィスの外から、ケラケラと笑う子供の声が近づいて来る。 #一行怪談
— 水沢ながる(絵は描けない) (@mizunagaru) 2017年8月9日